マウスピース矯正／小児

当院では、お子様もマウスピースによる矯正が可能になり、見た目はもちろんのこと、負担を最小限に抑えて、歯並びやかみ合わせを整えることができます。

インビザラインファーストやインビザラインティーンの登場までは、永久歯が生え揃うまでマウスピース矯正が適応できませんでした。

しかし、インビザラインファーストやインビザラインティーンの場合は、乳歯から永久歯に生え変わる変化の激しい時期であっても、マウスピースによる矯正治療を受けられます。

●メリット

・嘔吐反射が強いお子様でも
安心して型取りができる

従来の型取りは、ドロドロした印象材と、大きなトレーをお口の中に入れて型取りする必要がありました。

とくに、小さなお子様は嘔吐反射が強く現れる場合もあり、口の型取りが大きな負担となることがあります。
口腔内スキャナー「iTero」であれば、嘔吐反射の心配はほとんどありません。

・精密な予測、作製ができる

3D光学スキャナーを導入することで、精密な型取りを行えます。
また、3Dシミュレーションを使った治療前と治療後の比較が無料でできるため、より実現的な歯の動きの予測が可能です。

・見た目への影響が少ない

透明な樹脂でつくられていて、口元を見ても矯正をしていると気づかれにくいため、装着時の審美性に優れています。

・痛みを感じにくい

ワイヤー矯正のワイヤーを締める処置と比べて、痛みを感じにくいといわれています。
痛みを感じやすいお子様におすすめです。

・ご自身で取り外しできる

マウスピースを外して食事ができます。
また、セルフケアを行うことがむずかしいお子様も、いつも通りに歯磨きができ仕上げ磨きもしやすいため、虫歯になりにくいです。

・通院回数を抑えられる

ワイヤー矯正の場合は、1ヶ月に1回の通院が必要となりますが、マウスピース矯正の場合は、およそ1〜3ヶ月に1回の通院となります。

マウスピース矯正の場合は、器具の性質上、学校や予定をキャンセルしてまで通院するほどのトラブルが起こりにくいため、トラブル対応のための通院回数も減らすことができます。

・金属アレルギーの心配がない

金属を一切使用していないため、金属アレルギーのある方でも治療が可能です。

●デメリット

・着脱管理が必要

食事をする際にはマウスピースを外す必要があります。
また、食後の歯磨きをしたうえで、装着する必要もあります。

着脱に関しては、当院で十分に練習を行うため心配はありません。

しかし、マウスピース交換のタイミングはお子様にとって管理がむずかしい可能性があります。
マウスピースの交換時期や装着時間の確認は、保護者の方のご協力をお願いいたします。

・計画的に治療が進まない場合もある

1日22時間以上、マウスピースを装着しなければ、計画的に歯を動かしていくことがむずかしくなる場合があります。
学校や習い事をしている間の装着管理は保護者の方の目が届きにくいため、歯の動きが遅れる可能性もあります。

・マウスピースの紛失

ご自身での着脱が可能であるため、紛失のリスクをともないます。
管理には十分に気をつけましょう。

●矯正に要する期間

お子様の治療期間は、治療開始時の年齢や歯並びの状況、顎の成長に応じて異なります。

およそ7歳～11歳ごろまでの乳歯と永久歯が混在する時期に行う治療を「I期治療」と呼び、12歳ごろのすべての歯が永久歯に生え変わった時期に行う治療を「Ⅱ期治療」と呼びます。

Ⅰ期治療であるインビザラインファーストでの治療は、およそ1年半を目安に行い、永久歯を整えるⅡ期治療へと移行します。
Ⅱ期治療では、一般的に1〜3年程度の時間を要しますが、Ⅰ期治療の成果によっては短縮できる可能性があります。

お子様の歯の生え変わりや顎の成長を考慮して、インビザラインファースト（Ⅰ期治療）、もしくはインビザラインティーン（Ⅱ期治療）での矯正治療を行います。

いずれも、口腔内スキャナー「iTero」でお口の中をスキャンし、コンピューター上で歯の動きをシミュレーションしながら、治療計画を立てます。

シミュレーションに基づき、歯が少しずつ動くように設計されたマウスピースを作製、1〜2週間ごとにつけ替えて歯を動かし、顎のバランスが整うように導きます。
マウスピースは1日22時間以上の装着が必要です。

●インビザラインファースト

インビザラインファーストは、一般的に7～11歳までのお子様に適応するマウスピース矯正です。

永久歯専用のインビザラインフルなどと構造が異なり、インビザラインファーストでは、乳歯と永久歯が混在する時期だからこそ必要な構造が設けられています。
インビザラインファーストには、次のような特徴があります。

【インビザラインファーストの特徴】

・萌出タブ

永久歯の歯え始めに永久歯が過剰に萌出しないように設けられます。

・萌出スペース

永久歯の萌出前に、萌出用のスペースをマウスピースに作っておくものです。

・コンプライアンス・インジケータ

お子様の装着時間を把握するためのインジケータです。
マウスピースに付属するコンプライアンス・インジケータの色の変化で知ることができます。

インビザラインファーストでは次の条件を満たしている場合に、治療を受けることができます。

・第一大臼歯の放出
・上下顎、切歯計4本のうち2本が2/3以上萌出している
・少なくとも、乳歯（C、D、E）が3/4残っている、または未萌出の永久歯（3、4、5）が2本以上ある

年齢がインビザラインファーストの一般的な適応範囲内だとしても、乳歯がすべて残っていない状態や永久歯がすべて生え揃っている状態は、適応外となります。

乳歯がすべて生え変わり、永久歯が生え始めている場合は、基本的にインビザラインティーンによる永久歯の矯正を開始します。

●インビザラインティーン

インビザラインティーンは、永久歯が萌出途中のお子様に適応されるマウスピース矯正です。
永久歯の歯並びを改善するために行います。

萌出途中の永久歯がある場合の矯正治療は、永久歯の萌出を邪魔しないことやマウスピースの装着時間を守るための工夫が必要です。

インビザラインティーンは、萌出スペースを確保するためのマウスピース設計により、生えかけの永久歯を適切な場所に誘導する工夫や1日22時間以上の装着時間が確保できているかを確認できる印などが設置されています。

小児矯正におけるⅠ期治療では、顎の成長をコントロールする治療が主体となります。
矯正治療を開始する時期は早ければ早いほどよい場合もありますが、次のようなリスクが生じることもあります。

・矯正期間が長く感じることがある

Ⅰ期治療で1年半、永久歯の萌出を待って1〜3年ほどのⅡ期治療があるため、矯正期間が長く感じることがあります。

・費用や通院回数がかかる

長くなった分費用も増し、通院回数が増えます。

・虫歯のリスクが高まる

マウスピースを装着する年月が長いほど、虫歯のリスクが高まります。

・着脱管理やモチベーションの維持がむずかしくなる

期間が長くなると、お子様のモチベーションの維持がむずかしくなる場合があります。

叢生（そうせい）とは、歯が重なり合うように生えている歯並びのことです。
日本人に多い不正咬合といわれています。

チャームポイントといわれる八重歯も叢生のひとつです。
叢生となる原因はさまざまですが、おもに生え揃うスペースがない場合に起こるといわれています。

インビザラインファーストでは、従来の顎の幅を広げる治療は基本的に必要ありません。

口元から見える歯がコンプレックスとなる場合がある歯並びです。
従来の治療では、歯だけが出ている場合はワイヤー矯正を行い、顎に問題がある場合は顎の成長をコントロールすることで改善を図っていました。

しかし、インビザラインファーストでは、ワイヤー矯正と顎の成長のコントロールのどちらも行うことができます。

Ⅰ期治療では、顎の骨の成長をコントロールし、永久歯が生え揃ったあとのⅡ期治療では、歯の位置を微調整しながら歯並びを整えていきます。

いつまでも歯の隙間が埋まらない、過度にスペースが空いている場合は、埋伏歯や先天性欠如歯（せんてんせいけつじょし）の可能性があります。

ただし乳歯列や混合歯列期の場合は、これから生えてくる永久歯のスペースを確保するため、歯の間隔が空いていることが正常です。
そのため、この時期のすきっ歯の治療は不要といわれています。